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アメリカ 日本に「余剰プルトニウム返却せよ」と要求(共同通信)

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共同通信が「日米原子力協力」の今後を予見するかのような重大記事を掲載した。このことは都知事選の争点になってしまった「脱原発」の実現可能性に大きな影響を与えるのでここでお知らせしたい。それは日本がアメリカから預かっている余剰プルトニウムの取り扱いに関する記事である。

◆プルトニウム:米国 日本に提供の300キロ返還要求

毎日新聞 2014年01月26日 19時49分(最終更新 01月26日 21時52分)

核物質や原子力施設を防護・保全する「核セキュリティー」を重視するオバマ米政権が日本政府に対し、冷戦時代に米国などが研究用として日本に提供した核物質プルトニウムの返還を求めていることが26日、分かった。

このプルトニウムは茨城県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)で使う核燃料用の約300キロ。高濃度で軍事利用に適した「兵器級プルトニウム」が大半を占め、単純計算で核兵器40?50発分程度に相当する。

日本側ではこれまで「高速炉の研究に必要」と返還に反対する声も強かったが、米国の度重なる要求に折れて昨年から日米間で返還の可能性を探る協議が本格化している。(共同)

この共同通信の記事では書かれていないが、日本がプルトニウムなどの核物質を保有できるのは、ひとえにアメリカ政府との間で締結している、「二国間協定」(アグリーメント)である日米原子力協定が根拠になっている。敗戦国であり、同時にIAEAに加盟している日本は、アメリカの許可がなければ、平和利用であっても核開発ができない体制になっている。

日米は中曽根・レーガン政権時代に、日本が独自に使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する再処理という工程を行う許可を取り付けたが、それでもIAEAでうたう核不拡散の理念から、本当は余剰プルトニウムは持てないことになっている。しかし、日本は核燃料サイクルの名の下に、それをもんじゅのような実現が程遠い高速増殖炉や高速炉で燃やすことで利用するという名目で国内外にプルトニウムを保有し続けてきた。

上の共同通信の記事では、アメリカが返還を要求しているのは数百キロのプルトニウムだと書かれているが、実は日本が保有している余剰プルトニウムは国内に7トン国外に43トン程度で大雑把な数字で言えば50トンである。海外にある分は日本で核燃料サイクルの一環であるプルサーマル計画によって発電用燃料として消費する事を前提に、英仏の工場でMOX燃料棒に加工してもらうために待機させてあるプルトニウムだ。

ところが、この50トンものプルトニウムの消費もままならないのに、日本はさらに日本にある使用済み燃料を再処理してMOX燃料に仕立てて国内の原発で消費しようと、青森県・六ケ所村の再処理工場を建設した。都知事選で立候補している細川護煕元首相はこの六ヶ所村と核との関連を描いた「六ケ所ラプソディ」という映画を見て啓発されたという。

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この再処理工場が動けば、工場の解体だけで1兆円のコスト、40年間稼働させることで19兆円のコストが掛かると言われて経産省の一部の官僚からも批判の声が上がったのだ。MOX燃料は普通のウラン燃料よりも割高であり、現在はウラン燃料の枯渇の心配も当面は考えられない。また問題なのは再処理の仕組みがフランスで現在行われているものと同じ、旧いタイプのピュレ―ックス法というものを使用していることだ。

いずれにせよ、脱原発にとって、この再処理工場の閉鎖が極めて重要なのであり、この再処理工場を維持するために、運営会社の日本原燃の親会社の日本原電(原発以外をやってない特殊な発電会社。東電などの電力会社が大株主)は、福井県にある原電の原発を動かさないと行けない。それだけが原因ではないのだが、核燃料サイクルという割にあわない「お荷物」を維持するために、原発再稼働を急いでいるという構図があるわけだ。

脱原発の姿とエネルギー政策の大転換を冷静に議論するためには、まず普通の発電用原発とは異なる核燃料サイクルをストップする必要がある。全体的なエネルギー政策の見直しには、ある程度の時間軸は必要だろうが、まずは再処理をストップさせる必要がある。

アメリカが今になって、アメリカが提供した実験用に限ってとは言うものの、日本に貸与したプルトニウムを返却せよと言ってきたというのは、日本が不用意に核武装の材料となるプルトニウムを保有することのリスクを認識し始めたということだろう。
 
今年のダヴォス会議は安倍首相の思惑が外れて、安倍首相のセッションの後で記者たちが最初に質問したのは、中国との安全保障上の緊張関係を悪化させてもいる安倍首相の靖国参拝についてであった。

このブログでも繰り返し書いているが、今年は1914年の第一次世界大戦(ザ・グレートウォー)の勃発から100年。欧米諸国の懸念は日中関係の緊張が双方の挑発合戦で不測の事態に突入することである。安倍首相はクチでは「日中がかつての英独のように戦争してはいけない」と言明しているものの、実際にはその緊張緩和のための口火を自分からはきろうとしない。そしてあろうことか、天皇誕生日の3日後の就任一年目の去年12月26日に靖国神社に公式参拝している。

アメリカ、中国などの連合国の懸念は、日本がサンフランシスコ講和条約の前提となったヤルタ・ポツダム体制や、国連中心主義を「戦後レジーム」として脱却しようとしていることにある。

今回の都知事選でも戦後レジーム打破を主唱する石原慎太郎元都知事が応援する、保守派の候補である、田母神俊雄候補の過去のアパ論文(歴史認識がかなり乱雑)などへの注目が集まったことなどもあり、これまでのようになあなあの形で日本の余剰プルトニウム保有を認めていいのかという逡巡が米当局に生まれているようだ。これが今回の共同通信の記事の背景にある文脈である。

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要するに、ダヴォス会議では日本の安倍首相は第一次世界大戦をめぐる歴史認識を「テスト」されたのだがこの試験にやっぱり落第したわけである。ダヴォスに出席していたビルダーバーグ会議元メンバーのマーティン・ウォルフ(FT紙論説委員長)が安倍発言に「ぎょっとした」とコメントしたことがその論拠である。

Maybe, that is realistic and maybe such realism will protect the world from such a calamity. But it frightens the wits out of me. I was particularly struck by the almost casual way in which Mr Abe cited the World War I precedent. I wish the US would step more decisively on this nonsense.

http://blogs.ft.com/the-world/2014/01/davos-debate-on-accidents-and-abenomics/


一方、安倍首相は日中間の軍事衝突の可能性についての質問に「第1次世界大戦当時、英国 とドイツは最大の貿易相手国であったのにもかかわらず、戦争が起きた」として「(現在の日中関係も)似たような状況」と話した。この返事はファイナンシャ ルタイムズ(FT)等によって「日中間の戦争勃発の可能性を示唆したもの」と解釈された。FTのマーティン・ウルフ首席論説委員は「安倍首相のこのような 態度は肝を冷やす」として「米国が決断力を持って出なければならない」という文をブログに上げた。

http://japanese.joins.com/article/977/180977.html

日本がすぐに使わないプルトニウムを持っているのは「核武装への野心」があるのではないかとアメリカは常に疑ってきたようだが、今回はその懸念が、はっきりと表に出てしまったということになる。なにごとも「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということだ。日本は核不拡散へのコミットメントを確約させられることになるだろう。

 
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